NHKが映らなく加工したテレビでも契約義務の判決について

昨年12月の報道になりますが、その後の社会の動きもあり、取り上げます。

 

NHKの放送だけ映らないように加工したテレビを購入した方が、NHKと受信契約を結ぶ義務がないことの確認を求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は、当該テレビ購入者の上告を退ける決定(請求棄却)をしました。2021年12月2日付です。これにより、当該テレビ購入者の請求を棄却した2審東京高裁判決が確定しました。

 

(判決文は以下からダウンロードできます。)

 

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令和2(ネ)2643 令和3年2月24日  東京高等裁判所
NHKが映らなく加工したテレビでも契約義務の判決
令和2(ネ)2643 令和3年2月24日  東京高等裁判所.pdf
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かなり端折って言えば、

『NHKだけ映らないよう改造したテレビであっても、NHKとの受信契約は必要です。』

との判決で確定したということ。

 

今回は最高裁は自判や差し戻しではありませんでしたので、東京高等裁判所の判決で確定です。

 

それでは、その高等裁判所の判決の中身についてです。

 

かなりの長文です。

添付のPDFファイル(公開されている判決文)で7ページまできて、やっと『第3 当裁判所の判断』として判決の理由になりますが、それが延々11ぺージまで続きます。

一言(短い文章)でバスっと言えない所に裁判官の苦悩が伺えます。

 

まず、

⑴ 認定事実

として

「すなわち,TVケーブルを本件フィルターを通さずにチューナーに直結させることにより控訴人の放送を受信し,視聴することができることが認められる」

として、

「控訴人の放送を受信し,視聴することができる状態を継続させることは可能である」

と認定します。控訴人とはNHKの事です。

 

次に、

⑵ 以下,上記のような経緯で市販のテレビから加工され,・・・・放送受信契約の締結義務を負うか否かを検討する。(9ページから)

において、

 NHKは「公共放送事業者」であり「財源を・・・受信料によって賄うこと」は「控訴人が公共的性格を有することをその財源の面から特徴付けるものである。」と前口上し、

 

「財源についての仕組みは,特定の個人,団体又は国家機関等から財政面での支配や影響が控訴人に及ぶことのないようにし」

「受信料によって賄うこととしている趣旨が,国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的とし」

「放送法64条1項は,控訴人の財政的基盤を確保するための法的に実効性のある手段として設けられたものと解され」

等々と受信料徴収の正当性について述べた後、

 

「仮に・・・控訴人の放送のみを受信することを不可能にする・・・などして,・・・受信することができない状態が殊更に作出されたとしても,・・・控訴人の放送を受信することのできる状態にすることができる場合には,・・・当該テレビジョン受信機は・・・放送法64条1項所定の受信設備と解するのが相当」

としています。

 

そして、今回のテレビは、結局は(いろいろケーブルをチューナー直結させる等の作業をすれば)NHKの放送を受信できるので、受信契約締結義務を負うと結論づけています。

 

 

裁判所は法律に基づいて判断しなければなりません。

また、法律の解釈にあっても、その立法目的、過去の判例(本判決でも、過去の最高裁の判例に言及しています。)、法的安定性の確保等に配慮しなければなりません。

 

この判決は、最高裁判所としては認容できるものであったのでしょう。

一審の判決の方(受信契約義務なしの判決)が認められたら、NHKだけ映らない改造キットなんかが大量に売り出され、大変な事になったでしょうから。

 

しかし、現実問題として、受信契約を迫られる日本国民としては感情的に納得できないものを感じる方も多いのではないのでしょうか。

 

特に受信料徴収の正当性の理由としての、

「特定の個人,団体又は国家機関等から財政面での支配や影響が控訴人に及ぶことのないように」

とか、

「国民の知る権利を実質的に充足し健全な民主主義の発達に寄与することを究極的な目的」

などは、実体とだいぶかけ離れた理想論的な、というよりはNHK存続のための空理空論にしか聞こえないのは私だけでしょうか。

 

元より、悪いのは裁判所ではなく、放送法の改正を行わず放置している国会です。

国鉄も、日本電信電話も、郵便局も民営化できたのです。

NHKも民営化できないはずはありません。

 

結局、放送法、NHKが現代社会にそぐわなくなって来ているので、皆がストレスを感じているのです。

 

最近有名な総合ディスカウントストアで「NHK受信料不要のAndroidTV」が爆売れとのニュースが流れてくるのも当然の事でしょう。このテレビは、放送を受信するチューナーがついていないので受信契約が不要というわけです。Android搭載なので、ネットにつなげば、パソコンやスマートフォンで見ているような動画が見れるというもの。これで十分という方も多いのでしょうか。

 

NHKの月額料金は衛星契約で2220円(2022年3月時点)

これに対して

アマゾンプライム 月額500円(税込)

NETFLIX  月額990円(税込)※ベーシックプラン

Hulu    月額1026円(税込)

と、なっています。テレビと違って、わざわざ録画しておかなくとも、好きな時間に好きな番組を見る事ができます。こちらの方がいいという方が多いのではないのでしょうか。

 

なお、上記の「AndroidTV」を購入しただけではNHK受信契約を解約することは出来ません。自宅にテレビが有る以上、NHKは受信料を請求してきます。

 

NHKを解約するにはテレビを廃棄または他の誰かに譲り渡して、その証拠を揃えたうえで解約手続きをする必要があります。ところがNHKは、個人が解約を申し入れても色々と理由をつけてなかなか解約に応じないのが実態です。

 

 

NHKの解約をお考えなら、遠慮なくご相談ください。(現在まで解約率100%です。)